Patrem omnipotentem
冒頭の共通音型にのせて Patrem omnipotentem, factorem caeli et terrae までが歌われ、続いて"Regina" のカントゥス・フィルムスの上に上2声が visibilium omnium から filium dei unigenitum までを歌う。その間バスはテノールとほぼ歩調を揃えてゆったりと進行する。Et ex patre から上2声の模倣進行となり deum verum de deo vero まで続く。 Genitum からは再び "Ave Regina caelorum" がテノールに現れ、他3声が自由に展開し、ランディーニ型+アルトの動きで終止する。
Qui propter nos homines
上2声の模倣進行によって descendit de caelis までが細かい動きを交えて歌われ、 "Gaude gloriosa" をカントゥス・フィルムスとする Et incarnatus est の澄明な響きへと移行する。Crucifixus からは最初2声、次いで4声の自由な展開となり、再びランディーニ型+アルトの動きで終止する。
Et ascendit in caelum
上2声の上昇音型の模倣進行にバスの対旋律がからむ形で vivos et mortuos まで進み、 cujus regni から3声の自由な展開となり non erit finis は3分割系に拍子が変わり、"Gaude gloriosa" をカントゥス・フィルムスとする2分割系の Et in spiritum になだれ込む。バスのQui ex patre にアルトの速いパッセージがかぶさるあたりから短調の色彩を帯びた進行となり、バスとテノールが模倣的に進み、テノールと交替にソプラノとアルトが入り Qui cum patre et filio まで歌われ、ソプラノとテノールの simul adoratur で一段落する。
この simul adoratur の部分は下の楽譜に示すように2対3のリズムで進行する。楽譜は便宜上2/2拍子で記してあるが、より詳細にいえばソプラノの6/4拍子3小節分をテノールは4分割して歌っているといえる。バスも一部参加しているが楽譜上は省略してある。
Et unam sanctam
ここでのカントゥス・フィルムスは "Vale, o valde decora"。細かい動きも所どころ見られるが概ね歩むように進行し、peccatorum で小休止する。Et expecto はアルトが3分割系でリズムに彩りを与えた後、ソプラノとテノールから下3声に移り mortuorum までを歌い、Et vitam venturi saeculi, Amen. の終結部に至る。この部分は Gloria の終結部である in gloria dei patris, Amen. と歌詞こそ違え全く同じ進行であり、統一感を高めている。