Agnus Dei

Agnus dei (1)

 冒頭の共通音型には Agnus dei が充てられ、続く qui tollis peccata mundi は概ね4声で進行し、下の楽譜に示すように本ミサ曲では珍しい和声で小休止し、和声的進行の miserere nobis で終る。この終り方も本ミサ曲ではここだけである。

Agnus dei (2)

 3声曲。まず上2声の自由な音型 (ソプラノは各章冒頭音型のパラフレーズ) で始まり、下2声の模倣 (モティーフは "Salve radix"?) に受け継がれ、細かい動きを経て、上2声に戻り qui tollis peccata mundi までを歌う。miserere nobis は上2声の模倣を含む3声で歌われ、短調のイメージを与える。

Agnus dei (3)

 "Gaude gloriosa" をカントゥス・フィルムスとし、途中3声になる部分はあるが殆ど4声で進行し、響き、リズムともに充実した終曲にふさわしい一曲である。2分割系で Agnus dei を歌い、qui tollis の半ばあたりからアルトとテノール、次いでソプラノ、最後にバスが3分割系のリズムとなって小休止し、peccata mundi を3分割系で、最後の dona nobis pacem は2分割系で高らかに歌って終る。終止型は本ミサ曲の特徴の一つ、ランディーニ終止+アルトの上昇音型である。