15世紀ポリフォニー音楽の金字塔、ギヨーム・デュファイのミサ・アヴェ・レジナ・チェロールムは次のように始まる。
拍子記号および小節線は便宜上のものである。
8小節目に記した破線の個所まで、ミサ5章すなわち Kyrie, Gloria, Credo, Sanctus, Agnus Dei のそれぞれ先頭部分は全く同じに進行する。デュファイにおいて完成されたと言ってよい「循環ミサ曲」の典型である。
曲名の示す通り、この曲は聖母マリアのためのアンティフォナ Ave Regina caelorum の旋律をカントゥス・フィルムスとして用いている。カントゥス・フィルムスは一貫してテノールに与えられているが、他のパートにも随所にパラフレーズされて現れ、統一感を高めている。